銀次郎ブログ

都内の大学1年生です。拙い文章になりますが、本や映画の感想をメインに書いていきたいと思います。

【映画の感想】#4 猿の惑星

猿の惑星シリーズの一作目。古い映画ということもあって、最近の作品とは少しテイストが違い味があって見ごたえがあった。この時代では最高レベルの特殊メイクが使われているそうだ。序盤に死んだ仲間が、謎にいきなり猿っぽくなって死んでいたのにそこには何も触れられずに進んでいくのは不思議だった。また、昔特有のカメラワークが自分に合わず酔いそうになった。それに加え、序盤のホラー番組でよく使われているような音楽が少し不快だった。しかし、内容に関してはかなり考えさせられる内容だった。不時着した惑星では人間が獣であるかのように扱われるのだが、それは現実世界では動物に対して人間がほかの生き物に対して行っていることで、私たち人間の動物たちに対する行動を改めて考えさせる。この惑星では、まるで中世の世界であるかのように権威にすがりついて、進歩することに対して否定的であり進歩することができる証拠に対しても無視されるだけで、いま信じられているものに反するものは異端とされ逆に罪に問われてしまう。ここには、人間の過去にしてきたことの過ちが見て取れる。この猿の世界では、神が猿をあらゆる生物に超越する存在として作ったのだと信じている。これは、現実でいう創成期に語られているものに似ている。ここにも人間の傲慢さへの皮肉がよく表れたシーンだと思った。この映画の主人公は一貫して猿に心を開くことはなく、同種である人間に対しても粗暴な振る舞いをする。人間の自己中心的な考え方をこの主人公に投影させているのだろう。猿の博士が「人間は知性と愚かさを持っていたようだ」「領土のために兄弟を殺すのは人間くらいだ」というが確かにその通りかもしれないと納得させられた。映画が作られたのが冷戦の最中だったこともこのコメントの意味を深くしている。うすうす勘づいてはいたが、ラストのここがどこであるかを表す表現方法は見事だった。今の人間が持っている意識のままだとどのような結末が待っているか、よく考えさせられる作品だった。